今日は、暦年贈与の非課税枠(年間110万円以内)を使って相続税を減らせるのかどうかについて、税理士事務所に勤める新人職員「税太くん」が、経験豊富な「申之介税理士」に質問する会話形式で、わかりやすく解説します。
登場人物紹介
- 税太くん: 税理士事務所に勤める新人職員。税務の現場経験はまだ浅い。
- 申之介税理士: 実務歴20年のベテラン税理士。税太くんの教育係。
110万円以下の贈与は相続税対策になる?

申之介税理士、この前お客さんから「毎年110万円以下の贈与なら税金がかからないし、その分相続税も減らせますよね?」って聞かれたんですけど、本当にそうなんですか?

まず贈与税を計算する際には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの制度があるだ。今回は「暦年課税」を前提に説明するね。
結論からいうと、毎年110万円以下の暦年贈与を続ければ、その分は相続財産から減るから、結果的に相続税の節税になる可能性はあるよ。

なるほど…じゃあ、例えば毎年子どもに100万円ずつ渡しておけば、10年で1,000万円も相続財産が減りますね!

そう。ただし注意点があって、贈与が形式だけだと税務署に否認される可能性があるんだよ。たとえば、贈与契約書を作っていなかったり、贈与されたお金を贈与者が勝手に使っていたりすると、本当の贈与と認められないことがある。
暦年贈与を行う際の注意点

じゃあ、確実に贈与として認められるにはどうすればいいですか?

まずは毎年、贈与契約書を作ること。そして、贈与されたお金は受け取った人が自由に使える口座に振り込むこと。通帳や印鑑も贈与を受けた人が管理するのが望ましいね。

そうか、ただ「渡したつもり」じゃダメで、証拠も残しておく必要があるんですね。

その通り。あともう一つ、亡くなる7年以内の暦年贈与は相続財産に加算されるから、節税効果はないんだ。
この7年以内の贈与財産を相続財産に加算するルールは、令和6年1月1日以降の相続から適用されるもので、以前は3年以内だったんだ。
変わる前の3年以内と思っている方が今でも多いから注意が必要だよ。
まとめ
- 暦年贈与は年間110万円まで非課税で、長期間続ければ相続税対策になる可能性がある
- 贈与契約書や資金移動の証拠を残し、形式的でない贈与にすることが重要
- 亡くなる7年以内の贈与は相続財産に加算される(令和6年1月以降の相続から適用)
参考資料
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談には対応しておりません。内容には十分注意しておりますが、正確性・完全性を保証するものではなく、当記事によって生じたいかなる損害についても責任を負いかねます。税務申告に関しては、必ず税務署や専門家にご相談ください。
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